今回のアカツキテラスは、現在アカツキ・ヴァーチャルアーティスツ(AVA)社長で、元アカツキ社員である吉澤が、株式会社コルクでインターンをするというちょっと変わった経験をするまでのお話です。
──
2017年初春、六本木ヒルズにほど近い元麻布の洒落た小料理屋の2階の個室で、
僕はアカツキ社長の塩田さん、執行役員U本さんの隣にちょこんと座っていた。
机を挟んだ向かいには、あの「佐渡島庸平」がいる。NHKのサイトで見た、
「プロフェッショナル仕事の流儀」の動画に登場する、そのままの印象だ。
佐渡島さんの隣には、これまた世界的にも著名なクリエイターの方が座っている。
その会合は、仕事の猛獣達がお互いに甘噛みしながら隙あらば喰らいあうような、
そんな雰囲気を漂わせていた。
そしてその中で僕はじっと息を潜め、自分の出番が来るチャンスを伺っていた…
──話はその少し前、2016年の年末にさかのぼる。
アカツキでIP系の新規事業を立ち上げようと、暗中模索していた僕のところに、
U本さんが突然やってきてこう言った。
「吉澤さーん、今度コルクの佐渡島さんと飲むんすけど、来ます?」
U本さんは見た目がイカつく、声が低くて小さい。麻布高校出身の頭脳を持ちながら、
高校卒業後はドイツにサッカー留学をしているという文武両道の、いわゆるリア充だ。
そして本人には全く悪意がないが、ギョロッとした目で囁くように低い声で喋るため、
はじめてU本さんに会った人はなんとなく、恐い人に脅されている様な印象を受ける。
「え?佐渡島さん?…はい、ぜひ!」
僕は迷わずOKの返事をした。
作家や漫画家を夢に見たことのある人なら、一度はその名前を聞いたことがあるだろう。
大ヒット漫画『ドラゴン桜』や『宇宙兄弟』の編集を手がけた、コルクの佐渡島さんだ。
そして僕はその日から、佐渡島さんの研究を始めた。
「絶対に佐渡島さんと仕事で関わりたい!」と強く願っていた。
まずネットで拾える佐渡島さんの記事は、片っ端から読み漁った。有料も無料も全てだ。佐渡島さんの著書『ぼくらの仮説が世界をつくる』も、速攻でAmazonで買って読んだ。『宇宙兄弟』を読んでいなかったので、1日1巻ずつKindleで買って、読み進めていった。
またコルクではTwitterが推奨されていて、全社員がやっていると記事にあったので、
コルク社員やコルク関係者と見られる人のアカウントをすべてフォローしていった。
僕は結構凝り性なところがあって、そうやって探偵のような感じで3ヶ月くらいかけて、
佐渡島さんやコルクの仕事のことを、徹底的に研究・分析していった。
──そして冒頭の佐渡島さんと会った日。その研究の成果はあえなく散ることになる。
「佐渡島さん、吉澤はいま新しい事業を立ち上げようと頑張ってんすよ」
「へー、どんな事業なの?」
「妖怪ウォッチみたいなのです!」
「…ふーん」
佐渡島さんは僕の言葉にまったく興味を示さなかった。
2時間強の会合のなかで僕に発言の機会がまわってきたのは、その一度だけだったのに。
せっかくU本さんがくれたパスを、僕はゴールポストの枠から外に大きくはずしたのだ。
時間を5分前に巻き戻したくて仕方なかった。どんなに準備をしても勝負は一瞬で終わる。
自分でも何を言ったのか意味不明だった。一言でアピールしなければ!という重圧が、
「妖怪ウォッチみたいな事業」という、謎の表現を生み出してしまった…
しかしそんな落ちこんだ顔をした僕を見かねたのか、もしくはただの思いつきだったのか、U本さんはそのあと少し談笑をしてから、衝撃的な一言を佐渡島さんにむかって放った。
「佐渡島さん、吉澤がコルク大好きなんで、インターンさせてやってください!」
僕はあまりに唐突で無謀なU本さんの申し出に驚き、そして次に佐渡島さんが回答するその瞬間を、
期待と絶望の両方が入り混じった様な、なんともいえない表情をつくって待った。
「いいっすよー」
…それはU本さんの隣で深刻そうな顔をして沈んでいる僕とは、あまりに対象的なノリだった。
いま思えば、いわゆる飲みの席での相手にあわせた「建前」に過ぎなかったのかもしれない。
けれど、僕の中で一度消えかかっていた炎がふたたび、メラメラと燃えあがる感じがした。
「このチャンスを絶対に逃してたまるか」心の中でそう呟いていた。
そして次の日の朝に僕は覚悟を決めて、佐渡島さんにあらためてお願いのメールを出した。
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お世話になっております。アカツキの吉澤です。
昨日はどうもありがとうございました。
(中略)
それで、御社でのインターンのお話ですが
もしできるのであれば是非お願いしたいです。
(中略)
↓ご参考までに私の各データになります。
・ストレングスファインダー(左から上位)
内省/収集心/共感性/学習欲/着想
・FFS
凝縮性14/受容性14/弁別性12/拡散性14/保全性5
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メールの最後に「ストレングスファインダー」と「FFS」の結果を入れたのは、
佐渡島さんの研究をしているときに、コルクラボの募集要項にそれがあったのと、
なにかのサイトの記事で読んだ中に、FFSについて触れたものがあったからだった。
「凝縮性と受容性がどちらも高い人は、編集者に向いてるんですよ」
僕のFFSの結果がそうだった。だから興味を持ってもらえるように敢えてそうした。
そのあとの話は、「新人社長がコルクでインターンした話」に書いてある通りだ。
http://blog.corkagency.com/about-column/2465/
──
僕の好きな言葉の一つに、
楽天の三木谷さんの「幸運はチャンスと準備の交差点」という言葉がある。
幸運をつかむには「チャンス」と「準備」両方の要素が必要ということだが、
僕はその言葉を自分なりに、次のように解釈している。
「チャンスをチャンスと捉えられる眼は、準備をやりきった者にだけ宿る」
誰のもとにも、チャンスは突然に訪れる。
そのチャンスをものにできるかは、日ごろの準備と少しの勇気にかかっている。
【告知】
2018年2月26日のアカツキのイベント「ACE」に、コルク佐渡島さんが登壇します。
ご興味のある方はぜひ下記よりお申し込みください!(U本さんも見られるかも?笑)
https://aktsk.jp/recruit/new_recruit2019/ACE
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◼AVAについて
AVAはヴァーチャル世界の芸能事務所としてヴァーチャルアーティストのプロデュースを行っており、ボーカロイドアーティスト「VOCALOID4 Library LUMi」を発表。ソフトウェアの販売、イベントの企画運営、及び音楽や映像コンテンツの販売を行っている。
◼吉澤 馨
元アカツキ。
現在はアカツキの子会社アカツキ・ヴァーチャルアーティスツ(AVA)社長。新しいキャラクター&コミュニティビジネスを生み出すため、日夜準備中。
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